【訪問診療15年】コラム(完)~多職種で関わる訪問診療~
表題の通り、2007年から始まった当院での歯科訪問診療は、今年で15年を迎えました。
ここまで続けてこれたのはひとえに支援していただいている皆様のおかげと思っております。
今年1年かけて連載してきた【訪問診療15年】コラム。
最終回は、訪問診療を通して関わっている主な関係者について、解説します。
今回掲載する関係者は、『ケアマネジャー(介護支援専門員)』
『訪問診療医』『訪問薬剤師』『訪問看護師』『訪問介護士』
『言語聴覚士』『作業療法士』『理学療法士』『管理栄養士』です。
なお、今回の内容は
横須賀市のWebサイト「在宅医療を支える人々の紹介」を
中心に構成しています。☆・箇所引用
〇ケアマネジャー(介護支援専門員)
- 在宅療養を行う際のコーディネーターの役割を担う
- ケアプラン(各種課題や介護・療養の方針を示した計画書)を作成する
- 要介護認定などの申請を行う
- 要介護者や家族からの相談にのる
- 病院と自宅をつなぐ橋渡しの役割を担う(入退院支援)
- 介護保険サービスの紹介や利用申請、サービス給付費用の計算、請求の代行を行う
- 各専門職(多職種)と連携し、チームでサポートする
当院で、歯科訪問診療の依頼を最も多くいただく職種です。
介護保険ケアプラン内で、各職種をつなぐ「サービス担当者会議」を主催しています。
この会議を通じて、多職種間の連携を深めていきます。
〇訪問診療医(医師)
- 自宅へ訪問診療をする(慢性的な病気の診察)
- 急変時に診察する(往診)
- 訪問看護師へ指示を出す
- 急変時に病院と連携する(紹介状や情報提供書の作成)
- 要介護認定に必要な主治医意見書を作成する
- 自宅での看取りを行う(死亡確認、死亡診断書の作成)
主に訪問診療対象者の身体状況を把握し、
こちらからも情報共有をおこなっています。(医科歯科連携)
〇訪問薬剤師
- 医師の処方箋にもとづく調剤を行う
- 在宅療養者の自宅へ訪問して、
・患者へ服用方法、飲み合わせ、副作用の説明をする
・服薬状況の確認や服用指導、飲みやすくなる工夫などを行う - 処方内容に関する医師への確認する(疑義照会)
- 残薬(飲み忘れた薬)の管理を行う
訪問診療対象者への服薬確認に加えて、飲み合わせの確認を
こちらから問い合わせて服薬調整をおこなって戴いています。
また、訪問時にお口のケアの促し目的で、声かけしていただく
場合もあります。
〇訪問看護師
- 医師の指示のもと、自宅で療養している患者の
・食事、排せつ、入浴のケアなど療養上の世話をする
・点滴、注射、喀痰(かくたん)吸引などの医療行為を行う
・体温、血圧チェックなどの健康状態を評価する
・人工呼吸器など医療機器の管理をする - 医師の訪問診療の補助をする
- 身体状態の観察や介護予防を行う
- 患者家族への介護指導を行う
- 患者と家族の心のケアをする
訪問診療対象者の日常の体調変化を、当院で採用している
連携ノートを通じて、逐次確認連携をとっています。
〇訪問介護士
- 買い物や食事の準備、掃除などの生活支援を行う
- 入浴や排せつなどの身体介護を行う
- 生活や介護について相談へアドバイスする
- 通院時に車やタクシーへの乗り降りを手伝う
日常の生活の様子について、本人の表情から食事のこと、
感情の変化など、在宅療養にかかわることについて、
連携ノートを通じて、情報共有をおこなっています。
〇言語聴覚士
- リハビリテーションを行う代表的な職種の1つ
- 「飲み込む」「聞く」「話す」といった機能の訓練を行う
- より安楽・安全な在宅での療養のための支援を行う
- 嚥下や言葉によるコミュニケーションが困難(聴覚障害、失語症、構音障害など)な方のための改善・軽減を行う
歯科医療従事者に一番近い職種の一つです。
摂食嚥下機能(食べる、飲み込む機能のこと)について、
精通しており、協働して対象者に接する職種です。
〇作業療法士
- リハビリテーションを行う代表的な職種の1つ
- 「食べる」「着替える」などの日常生活に必要となる動作の訓練を行う
- より安楽・安全な在宅での療養のための支援を行う
- 日常生活の動作に加え、手工芸、園芸、レクリエーション等の作業活動を通して、身体と心のリハビリテーションを行う
- 躁うつ病、摂食障害などの精神障害の患者も対象としている点が理学療法士との大きな違いである
対象者に食事の際、箸の持ち方を指導したり、
手指の動きを訓練するなど、歯科と情報共有をおこないます。
〇理学療法士
- リハビリテーションを行う代表的な職種の1つ
- 「起き上がる」「歩く」などの基本的な動作の訓練を行う
- より安楽・安全な在宅での療養のための支援を行う
- 自宅での生活に求められる身体能力の維持・向上や機能低下の予防を図る
対象者に対し、主に安全な姿勢(上肢下肢ともに)を保持する
訓練を指導するところで、歯科との情報を共有しています。
〇福祉用具担当者
上記リハビリ職種で使用する用具や、
介護用ベッドおよび周辺器具など、
さまざまな用具の提案をしていただけます。
〇管理栄養士
- 療養者の栄養状態のチェックを行う
- バランスのとれた食事のアドバイスを行う
- 在宅環境での調理方法のアドバイスなどを行う
- 医師や歯科医師と連携して、嚥下機能訓練(飲み込む訓練)を行う
- 介護者やヘルパーに対して、直接、栄養指導や調理指導を行う
身体の状態が悪い際、栄養状態の改善指導をおこなうだけでなく、
摂食嚥下機能の低下がある際に、
嚥下調整食(いわゆる介護食)の選択について、
詳しく指導していただける職種です。
歯科との連携を緊密におこなっていきます。
このほかにも民生委員や司法書士など、さまざまな職種の方と
一緒に在宅療養を支援しています。
在宅療養に関する、多職種連携・協働について、
詳しくは横須賀市地域福祉課、地域包括ケア担当へ
お問い合わせください。
お口のことで気になる方がいらっしゃいましたら、
お気軽に当院までご連絡ください。
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